レポート REPORT

島をまるごとキャンパス化。
淡路島ゼロイチコンソーシアムと実現する学びのかたち。【第1回】

株式会社ワークアカデミー 松田正浩

2022年6月より淡路島ゼロイチコンソーシアムの新たなメンバーとして加わって頂いたのが、大阪に拠点を置く株式会社ワークアカデミー。今回は、ワークアカデミーの松田社長に、洲本市との出会いから、淡路島ゼロイチコンソーシアムで実現したいことや、今後の展望についてお話をお伺いしました。2回連載でお届けします。

松田 正浩(まつだ まさひろ)

松田 正浩(まつだ まさひろ)

株式会社ワークアカデミー取締役社長。教える人と学ぶ人がともに学び、ともに悩み、ともに成長していく。お互いがお互いに人生を支援する関係を作り、生涯の「学び」と「新しい出会い」の場づくりを行っている。

洲本市との出会い

“淡路島ゼロイチコンソーシアム”のことを知ったのは今年に入ってからなんですが、以前より洲本市で学生向けの課外活動を行っていました。ですので、洲本市とのつながりは以前からありました。

僕らは、大学と一緒に大学授業のカリキュラムを組み立てたり、大学に所属している学生が、大学の授業で得た知識を活かして実践的に学べるように、大学の授業以外で課外授業を通して学ぶ場をつくる、といった事業を展開しています。大学と一緒に、というと少しヘンな言い方に聞こえるかもしれませんが、学生が大学を卒業して社会に出た時に、より活躍できるようなサポートをしています。

ー実践的に学ぶとはどういうことでしょうか?

より社会に近い現場で学習活動を通じて体感することが、実践的に学ぶということです。大学の授業は、知識やスキルを習得することができるアカデミックな場ですが、それをそのまま社会で活かせるかというと少し繋げにくい側面があります。ですので、大学での体系的な知識の習得と並行して、課外活動での体感を通してより学びを深める場を作り、チャレンジする学生を支えたいという想いを持っています。

大阪天王寺の”ハルカス大学”や、大阪梅田の”UMEDAI”といった都心部でのサテライトキャンパスも、そういった文脈の中で出来上がりました。

そして、そのサテライトキャンパスのイベントや大学カリキュラムのPBL(課題解決型学習)を実施している中で、シマトワークスの富田さんと出会いました。

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洲本市でPBL(課題解決型学習)をするのはなぜ?

わたしたちは大阪を拠点にしているんですが、淡路島って大阪からも近くて、本州にはない魅力がたくさんあると感じています。気候が良くて、食べ物が美味しくて、温泉があって、のびのびできて、そして人も良くて。

関西の大学にとっても、淡路島は行き来しやすいので、大学とは違った環境で、学生がちょっと緊張感を持ちながら学習できるというのが、課外学習の舞台としてはちょうど良いと感じています。それと、洲本市は域学連携を推進されていますよね。そういった洲本市が発信しているメッセージを大学が受け取っているということも、あるのではないかと思います。

ーもともと淡路島で事業を展開されている中で、コンソーシアムに参画しようと決めたのはなぜでしょうか?

洲本市に関わる人たちを支えるような役目を担える、と感じたからですかね。淡路島ゼロイチコンソーシアムは、洲本市に拠点を持ち、なおかつジャンルの違った機能を持ち合わせた団体が集まっているので、一緒に取り組むことで、今よりさらに多くの人たちに、学びの場を作ったり、充実感を持ってもらえるようなプログラムを提供できるんじゃないかな、と。現地のことをよく知る団体と一緒に取り組むことで、その場所で、地元住民や企業にどんなメリットが出せるのか、どんな貢献ができるのか。という視点を持って参加し課題を見つけられる方が、よりぎゅっと充実した学びになると思います。

町、場所が中心。そこに住む人達が中心人物。

たとえば、インターンやPBLといった枠組みで、団体が来て、一定期間滞在して、また帰っていく。で、また別の団体が来て、また同じことをして、帰っていく。それだと、毎回ゼロに戻ってしまっていて、洲本市にとってのメリットはなかなか生み出しにくい。そうじゃなくて、やり残した事や課題を整えて、次の団体に引き継いで解決していくことが、街の発展や貢献につながると思います。

ぼくらのようなひとつの企業が大阪から行き来しながらだと、課題を継続して解決していく仕組み作りが少し難しいと感じている部分もあって。その点、洲本市に拠点を置いていたり、住んでいたりと、洲本市にベースがある企業や団体と一緒に進めていけるというのは強みだと思うんです。

ー地元密着な企業だからこそ、継続していける土台作りがしやすいということですね。

そうですね。僕らは、学校の先生や学生を洲本市に繋げることで関係人口を増やすことはできても、洲本市の住民を増やす事は直接的には難しい。学生に洲本市に住んだら?とは言えないですし(笑)。

僕らがいちいち来て、色々掘り起こして課題を見つけるのも、外から祭り持ってきてやろうぜって言って、結局ゴミばかり残して荒らしてるだけやんっていう感覚と似ていて、ちょっとおかしいですよね。

洲本市というフィールドを活用して学びに繋げる、ということが前提になるので、町、場所が中心ですし、そこの人達が中心人物じゃないと。そのために、継続して課題を解決する、その実行的な機能を実現できるような団体になれればいいなと思っています。

ー洲本市が中心人物、それを支えるコンソーシアムという立ち位置ですね。

もちろん、学生の成長や将来的な活躍を目指して活動させてもらいながらですが、洲本市の企業や住民のみなさんが洲本市が良くなったと感じてもらえるように。

コンソーシアムには、そういった洲本市の発展につながることを、継続的に実施していける仕組みを一緒に作っていくというのを、期待しています。(第2回に続く)


今回はここまで!

次回は、洲本市のまちをまるごとキャンパス化するという構想について、お話を伺っていきます。