自分で何を“選択”したか、それに自覚的であれるか。

2020.10.2 | 株式会社シマトワークス 玉井敬雅

interview

企業と生産者をつなぐツアーや、企業研修、淡路島の豊かな資源を生かした場作りを行うシマトワークス。彼らがはじめようとしている淡路島でのワーケーションプログラムをひもとく手がかりとして、シマトワークスの3人のはたらき方や暮らし方、生き方への向き合い方を伺いました。

(聞き手:No.24藤田祥子)

オンとオフを分けたほうがいい人、
そうでない人、両方あっていい。

-玉井さんは、シマトワークスのメンバーになるまではどんなお仕事を経験されてきたのですか?

ぼくがシマトワークスの一員になったのは2019年のことです。はじめに勤めた会社は印刷会社で、WEBのコーディングやデザインを担当していました。その会社から出向して、別会社に駐在していたこともあります。その後、2013年に地元である淡路島に戻ってきました。実家の祖父母や両親たちの近くで暮らしたいと前々から考えていてUターンしました。淡路島では市役所で、主に情報管理やシステム、ネットワークの管理に携わる部署で働いていました。

洲本市役所で最初に配属された情報課で

-玉井さんはどんなお仕事を手がけられているのでしょうか。また、シマトワークスには共有のオフィスがないそうですね、どこを拠点にはたらかれているのでしょうか?

シマトワークスでは、観光PRのWEBページや、地元企業のコーポレートサイトやオンラインショップの企画やデザイン、コーディングを手がけています。

富田と徳重は自宅に、僕の場合は暮らしているところからすぐのところに実家があるので、今はそこで仕事をするようにしています。

シマトワークスにはいってすぐの頃、自分の家で仕事ができるって最高だって思いました。パジャマのままでできたりするし、疲れたらすぐ休めるし……笑。それは、最近リモートワークをはじめたみなさんも同じ心境だったのではないのでしょうか。

とはいえ、自宅がそんなに広いわけではないので「仕事するぞ!」ってモードで気持ちを切り替えられる場所がありませんでした。あと、デザインやコーディングなど手を動かす仕事のときは、他のことを何も気にしなくていい環境がよくて。暮らしの中に仕事を持ち込んだりもしたけど、どうしても家のことが気になって集中できなかったんです。

今のベストポジションはかつての自分の部屋。冬はこたつのある部屋へ移動したり、気分によって実家のあちこちを移動するそうだ

そこで気持ちを切り替える意味でも、実家に出勤して集中して仕事をする環境を整えるようにしました。これは僕の場合は必要だったことなんですが、そういった切り替えが必要ない人もいると思います。実際、富田はスイッチなくいつでもニュートラルに仕事や暮らしのことができるらしいです。そうなれたらいいなとも思いますが、僕は僕のペースで。今のはたらき方も気に入っています。

自分にあった方法を、
探しながら、確かめていく。

-何時から何時までと定時がある仕事から、自由にはたらける環境になったとき戸惑いはありませんでしたか?

僕は飽きっぽい性格なので、できたらずっと同じことは繰り返したくないんです。だから、家ではたらくということが決まった時は、考えないといけないことはあったけど、それで困ったなと思うことはありませんでした。

もともと、会社員だったときも本社から違う会社に出向になったり、市役所で勤めていたときも情報を取り扱う部署から、まったく違う部署に異動になったり。わりと変化が多い方だったので「今回はどうやったら、パフォーマンスよくはたらけるかな~」と考えることが好きで笑。

とはいえ今の仕事のスタイルは、始業時間も終業時間も自分次第なのでリズムをつくるのには工夫が必要だなと実感しているところです。

-休む時間や、休日のタイミングをはかるのも難しそうですね。

そうですね、今は休みのとり方が少しむずかしいなと感じてます。コーディングやデザインに集中すると、メールや電話に反応できないこともしばしば。気がつくと休もうと思っていた日に手が動いていたりすることもあります。

そこを明確に色分けしたほうがよいのか、それともグラデーションがあってよいのか、それはその人それぞれで違ってくるのかなと、今はたらきながら確かめているところです。

祖父から受け継いだ田んぼ。現在は父と二人でお米をつくっている

-自由な時間の中ではたらくようになって、暮らしに影響はありましたか?

ちょっとしたことで言うと、晩ごはんのタイミングとか。定時があると何時に帰るから、この時間に。って晩ごはんも決まった時間に食べていました。でも、いまだと「まだ今日はそんなにお腹すいてないね」って言って少し遅くしたり。

これはちょっとしたことのようで、大きな違いで。自分たちが心地いいなって思うタイミングで、フレキシブルにいろんなことを決められるようになるんですよね。時間が決まっていてよいこともあるけど「これって本当は”今”必要じゃないかも?」そういうことを考えたり感じられたりする感度があるとないとでは、日々のストレスの感じ方もまったく違うんじゃないかなと思います。

はたらき方・暮らし方を、
自分らしく思い切り楽しもう!

-はたらき方や暮らし方の方法、これまでも日々更新されてきたのですか?

仕事も暮らしも、いろんな方法を試します。何度も言うけど、飽きっぽいので笑。少しずつ自分になじむ方法が見つかるだろうと思って、社会人になって10年以上ですけどずっといろんなことを試しています。

過去の田植えの記録を見返す

たとえばこの2年位は仕事で検索したことや困ったこと、解決した方法、暮らしだったら実家の田植えの記録など、ログを残すツールを使ってます。自分がやったことを検索できるツールなんですが、日記のように残していて。なんでもないお昼ごはんの写真とかも。「それ見返すの?」と言われたりするんですけど笑。それを積み重ねてるおかげで、解決することも結構多いんです。こうしたツールもそうですが、いろんなことを試しながら自分に合う方法を見つけるのが好きなんでしょうね。

今回のワーケーションプログラムのコンセプトに「与えられた”はたらき方”に人生を添わせるのではなく、共にはたらく仲間と一緒に考え、一人ひとりが、”はたらき方””生き方”にオーナーシップを持つ」。という言葉があります。

はたらき方とか生き方を「新しく生み出す」ことがオーナーシップを持つことだと思う人もいるかもしれません。ですが僕は、自分らしいリズムを見つけ出したり、これまでの方法を再構築してみることが、オーナーシップだと思うんです。

どんな風にはたらく環境を整えようか、どんな暮らしを家族としたいか、どんな時間を人生に持ちたいか。だから自分はこういうはたらき方を選ぼう!

そうした自分で選び取った選択に、いかに自覚的であれるか。リモートワークやワーケーションを取り入れるにしても、そうした自覚があるかないかで、はたらき方は大きく変わるなと思います。

シマトワークスの10年後の未来を話し合った「10Y CAMP」。仕事だけではなく、自分が想い描くはたらき方や暮らし方も共有した。

まだまだ自分もはじめたばかりで、リモートワークにこれだという正解はないのが正直なところです。ですが、大きく暮らしやはたらき方が変わろうとしている今だからこそ、これまで当たり前と思っていたことに向き合って、改めて選びなおしていけばいいんじゃないかなと思います。

ぼくはそうしたはたらき方や生き方を試していることが、悩みながらもとても楽しい時間だなと感じています。まずは楽しむところから、ワーケーションプログラムを通じて、みなさんにも一歩進んでもらえたらうれしいです。