【ワーケーション|モニターツアー体験レポート】淡路島で過ごした4日間

淡路島に拠点を置き、日本の新しい働き方を追及しているシマトワークスが、2020年の秋にワーケーションの実施に向けて動き始めました。

今回は、2020年9月に行われたモニターツアー「未来の働き方を考える4日間」に参加した私が、体験レポートの筆を執らせていただきます。

島の外で生まれ育った私から見た”淡路島の魅力”や、ワーケーションの可能性をご紹介します。


菅 堅太(すがけんた)

2015年関西学院大学総合政策学部卒業。1992年大阪生まれ。東京の出版社や編集プロダクションで務めたのち、Web記事制作の会社を設立。自身で記事執筆を行う傍ら、フリーライターの方たちの育成に尽力している。

ワーケーションって何?

「ワーケーション」は、「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」を組み合わせた造語で、2000年ごろに生まれた言葉だと言われています。

近年はコロナの影響から、新しいライフスタイルや働き方に注目が集まるようになりました。中でも、ワーケーションは観光地などでくつろぎながら仕事を進められるほか、コロナで客足が遠のいた場所にも旅行客が訪れるため、地方の企業や自治体が力を入れている取り組みです。

ワーケーションの実施には、Wi-Fiや電源など作業環境が欠かせません。今回のモニターツアーを企画したシマトワークスさんは、十分に作業できる環境を整えるだけでなく、地産地消の食事や淡路島の魅力を存分に体感できるプログラムや、働き方を見直すプログラムが用意されていました。

2020年の秋に本格始動とのことなので、ワーケーションに興味がある方は以下のプログラム内容をご覧ください。

ワーケーションモニターツアーのプログラム

モニターツアーは、9月25日(金)〜9月28日(月)までの4日間にわたって行われました。

内容を大きく分けると、金曜と月曜は自分の仕事に集中する「ワーケーション」、土曜と日曜は仕事から離れて自身を見つめ直す「リトリート」です。

シマトワークスさんが企画するワーケーションは、ただ観光地で仕事するわけではありません。

今回のプログラムを通して参加者が自身を見つめ直せるよう、また心身の健康を保てるよう以下の方々と共同で進めていました。

合同会社ミラマール代表社員 川人ゆかりさん
大阪行岡医療大学 助教 山野宏章さん
㈱次世代共創企画 代表取締役 山中 昌幸さん

ワーケーションやリトリートで何をしてきたのか、1日ごとに見ていきましょう。

<1日目>ワーケーション:海を眺めながらの仕事は捗る!

1日目の集合時間は10:00。途中参加を含めてモニターツアーの参加者は6名でした。

開催が淡路島だったので、関西で働かれている方が大半でしたが、東京から参加している方も。

洲本バスセンターから車に乗り込み、4日間滞在する宿泊施設へと向かいます。到着した場所は、バスセンターから車で20分ほどの由良町にある「エトワール生石(おいし)」。

山と海に挟まれ、周辺には豊かな自然が広がっています。

海と山の中間に位置する抜群のロケーション!

エトワール生石は海のすぐそばに建っているため、食堂やロビーなど施設内の至る所で海の眺望が楽しめます。

シマトワークスさんからワーケーションの簡単な説明を聞き、早速ワーケーションがスタート!

1日目は天候が雨だったので、外で仕事はできませんでしたが、参加者はそれぞれが気に入った場所で黙々と作業に集中していました。

淡路島の海の幸に舌鼓を打つ

そして、12:00にはお昼ご飯を食べに「新島水産」へ。

この日は、今回のモニター特別メニューとして近海で獲れたタイやシラスなどを使った海鮮丼をいただきました。

魚介の旨味が口いっぱいに広がり、さらに中央に添えられた玉ねぎが絶妙にマッチ!淡路島の食に胃袋がガッツリ掴まれました(笑)。

ワークショップで参加者と仲良くなれる

食後は宿舎へと戻り、ワーケーションとして17:00まで仕事を続けます。17:00〜19:00までの2時間はワークショップの時間です。

ほぼ全員が初対面なので、まずは自己紹介からスタート。

二人一組になって「相手のニックネームを付けること」を目標に、ペアになった人のことを深く知るための時間が設けられました。

私は、奥さんと出会ったきっかけが「はとバス」だったので、「Mr.はとバス」の名前を授かりました(笑)。

仕事のことだけでなく、プライベートでお酒ばっかり飲んでいることや、「将来は世界の人たちと一緒に仕事をしたい!」など、さまざまな話しを通じてメンバーと打ち解けることができました。

このほか、絵を描くワークショップも。今の自分が心の中に思い浮かべるものを一枚に絵にする時間は、普段の生活では滅多にやらないことだったので、少し戸惑います。

描き終えたら、みんなで絵を見せ合いますが、「最初に手に取った色が茶色の人は、安定を求めている」などの、心と行動がつながっている瞬間を実感した時間でした。

仕事ばかりしていると、論理的な思考を担当している左脳を使いがちです。しかし、こうして「右脳を使う」というのは、新鮮さよりも、どこか懐かしさを感じさせます。

山海の恵みが詰まった夕食は至福のひと時

ワークショップが終わり、19:00からは夕食。

淡路牛を使った鉄板焼きやタイの煮付け、ハモのフライなど淡路島の旬の食材が膳を彩ります。

今回のモニターツアーでは、1日目のみお酒が飲めたので、お酒が好きな参加者は大事に飲んでいました(笑)。

<2日目>リトリート:自然を体感する1日

リトリートがメインとなる2日目は、朝の6:30からプログラムが始まります。

潮風の香りを楽しみながら、海の見える広場でヨガやストレッチ。

眠っていた体をゆっくりとほぐした後は、浜辺のゴミを拾ってビーチクリーンをしました。

心と体がほぐれたらビーチクリーンへ!

遠くから見ると自然豊かな印象を受けますが、海に近づくとゴミがちらほら。潮の流れの関係で、海に漂うゴミが流れ着くのだとか。

ワーケーションは、地域の魅力なくして実現できないものなので、環境問題についても考えさせられます。

優しい味付けの料理が朝食にぴったり!

ビーチクリーンを終えて宿に戻ると、お弁当が届いていました。

2種類のおにぎりをはじめ、イチジクや地野菜が綺麗に盛られ、朝にぴったりの食べやすさ。

この日はシマトワークスが関わっている農場へ行く予定もありますが、朝食に使われていた野菜から伏線が張られていたのかもしれません……。

海の香りが漂う農園で収穫体験

宿から車で移動し、到着したのは「farm studio」。大阪湾が一望できる絶好のスポットです。

farm studioの担い手の一人であり、いちご農家とジャム屋さんを兼業している山田屋さんにお話を伺いました。

簡単に説明すると、このfarm studioでは耕作放棄地を使って新たな可能性を模索しています。お客さんが10平米ほどの農園を持てる仕組みを作ったり、敷地の一角を使って養蜂に取り組んだりと、その内容は多岐に渡ります。

また、雑草の生い茂る耕作放棄地を元の姿に戻すため、牛の力を借りているのも斬新です。

山田屋さんによると、人間の手で整備するのは困難でも「牛に雑草を食べてもらうことで、効率よく土地を整えられるんです」とのこと。

放牧することで牛のストレス発散にもなり、WIN-WINの関係ができているようです。

実際に土に触れ収穫や種まきを体験!

落花生の収穫や耕作・種まきの体験もさせていただきました。

ダイコンやニンジン、シュンギクといった野菜の中から自分が好きな種を選び、植えていきます。

淡路島から離れても、担い手の方たちが作物を育ててくれるため、収穫時期に再び淡路島を訪ねるのも楽しみです。

農業体験後は、farm studioで採れたハーブを使ったジュースでひと休み。

ハーブと蜂蜜を入れて炭酸で割るだけの手軽なジュースですが、ハーブの香りで爽やかな味わいに仕上がりました。

ランチは摘みたてのハーブを使った「レモングラス鶏飯」

そして、昼食はレモングラス鶏飯をいただきました。料理を作っていただいたのは、no.24の藤田祥子さんで、この日のランチと翌日の朝ごはんも作られたようです。

しかも、ただの料理人ではなく、コピーライターとしても活躍されているとか。

じっくりと煮込んだ鶏肉の旨味と、レモングラスと一緒に炊いた白米の風味が絶妙にマッチ。途中でスダチなどを加えて味変も楽しめました。

昼食を終えて休憩したあとは、宿泊施設のエトワール生石へ帰ります。

farm studioでの滞在が当初の予定よりオーバーしていましたが、焦ることなくゆっくりと行動できるのもリトリートならではの過ごし方なのかもしれません。

内省を通じて「自分を知る」

宿に戻って少し休憩を挟んだら、自分の過去を振り返る「内省」を行いました。

内省を担当したのは、合同会社ミラマール代表社員の川人ゆかりさん。

自分の人生を振り返り、モチベーショングラフを作成しますが、それぞれが自分の好きな場所で内省を行うことに。

波の音や山の匂いの中で、自分の過去と向き合います。

モチベーショングラフを作り終えたら、他の参加者と共有します!

「自分のモチベーションはどんな時に上がるのか」を具体的に見られて、今後の働き方や生き方の方向性が見えてきました!

「自分のことを見つめ直す時間」はなかなか取れないものですが、日々の喧騒から離れ、過去の自分や将来の自分について考える時間こそ、私たちに必要なのかもしれませんね。

淡路島の料理人が作る夕食は見た目も味も絶品!

続いて、本来の予定では「幸福学」の時間ですが、夕食をとることに。

ワーケーション2日目の夕食を作ってくれたのは、淡路島のゲストハウス花野の中にある「食のわ」で料理人をしている神瀬聖さん。

地元で採れたオーガニックな食材を使い、見た目にも美味しそうな料理の数々をいただきました。

作っていただいた品数が多すぎて覚えきれませんでしたが、ハーブのサラダやコロッケ、新鮮な魚の焼き物など、全て絶品でした!!!

火を囲み「幸福学」について話し合う

夕食のあとは、浜辺で火を囲みながら幸福学について語らいました。

ファシリテーションを行ってくれたのが大阪行岡医療大学助教の山野宏章さん。自身の研究や実体験を元に、「幸福とは何か」を学術的な観点から教えていただきました。

幸福学についてざっくり解説すると、人が幸福を感じるには4つの因子が関わっているそうです。

・ありがとう因子
・なんとかなる因子
・あなたらしく因子
・やってみよう因子

これらの因子が長期的な幸福度に関わってくるのだとか。

内省の時間に自分のモチベーションを認識しましたが、幸福学と合わさることで、自分への理解がさらに深まりました。

<3日目>リトリート:自分だけの時間を過ごす

3日目も早朝のヨガから始まり、ゆっくりと身体を起こしていきます。

もはや日課のようになった海の掃除も、みなさん慣れた手つきで素早く集めていました(笑)。

ソロの時間は「気」を体感することからスタート

リトリートの2日目を主に担当されたのが、㈱次世代共創企画の代表取締役である山中 昌幸さん。

長年、教育機会開発に携わっており、数多くの企業や教育機関からも注目が集まる方です。

今回のプログラムを企画したシマトワークスさんが山中さんの武勇伝?を語るほど、面白い人でした(笑)。

この日は「気」について教えていただきましたが、「やる気」「元気」「活気」など、「気」が入る言葉は日本語に数多くあります。

気の体験には、自分の呼吸や人の体に触れることが必要だったため、コロナ対策として消毒や換気を行ってからスタート。

気を集中することで「力を入れなくても肘が曲がらなくなる」など、いくつかのワークを通じ、参加者は「気」が何なのか漠然とでも体感しました。

私も踏ん張ったつもりはありませんが、ペアになった方が肘を曲げようとしても、ほとんど動かなかったのは驚きです。

緑の中を歩くソロの時間

気を学んだあとは、宿泊施設のすぐ裏手にある山へ。ただ登るだけでなく、自由に歩きながら自分について考える時間です。

頭の中を現実から切り離すため、電子機器を一切持たない「デジタルデトックス」も行います。

山の中を歩き、自然を感じながら「今後の人生で何をしたいのか」を考え続けました。

風に揺られる木々や海から香る潮の匂いなど、都会では味わえない空間が広がるからこそ、自分自身に向き合うことができます。

作り手の心がこもった温かいお弁当

淡路島の自然を心ゆくまで堪能したあとは、みんなでお弁当をいただきました!

ぱっと見ただけでも作り手の優しさが伝わってくる、こちらのお弁当は「空想燕」さんが届けてくれました。

魚や野菜など地域の食材が丁寧に調理され、味わい深いひと碗です。

目標を達成した自分をイメージする

自然の香りや音を感じつつ未来を考えるため、ソロの時間ではとにかく右脳を使います。

淡路島の自然に触れたあとは施設に集合し、「今の自分」から「目標を達成した自分」「達成したあとの幸せな自分」などをイメージするワークが開始。

頭の中で具体的にイメージしながら、歩を進めるごとに目標を達成し幸福な未来へと進みます。

何度も繰り返すことで、より鮮明にイメージできるようになりました。

未来の働き方を一枚の絵にしよう

人によって考えもやりたいことも全く異なりますが、将来の理想を絵にすることで、その違いが顕著に現れます。

自分が描いた絵を見せながら、どんな生き方が理想なのか、みんなに発表しました。

家族と過ごす幸せなひと時を描く人がいれば、ハワイでサーフィンを楽しみながら生活する様子を描く人も。

それぞれの発表を聞きながら、「それはいつ実現するのが目標?」など、発表者に対しての質問があったので、理想像がより具体的になっていきます。

地の食材、これでもか!

この日の夕食も神瀬さんが作ってくれました。

一品一品丁寧に作られ、香り豊かなハーブサラダや食べ応え十分のローストビーフ、さらには特産の玉ねぎを丸ごと使った一品など、大満足の夕食です!

淡路島は星空も見どころの一つ!

今回のモニターツアーに参加したカメラマンが、夕飯のあとに星を撮りに行っていました。

そのときの一枚がこちら!

夜空に輝く星は、自然豊かな土地でしか味わえない贅沢ですね。

<4日目>ワーケーションと4日間の振り返り

ついに迎えてしまったワーケーション最終日。ヨガやストレッチを終えて、朝食をいただきますが、どこか寂しさが漂います。

上の写真は参加者の仲が悪いわけではなく、コロナ対策です(笑)。

最終日はワーケーションなので、朝食のあとはそれぞれの仕事に集中します。

屋内から海を見渡せる席や、外に椅子を用意して黙々と作業に集中。ネット環境が整っていたので、オンラインでMTGを行う方もいました。

私は普段から土日も働いていましたが、この土日はほとんど仕事をせず、リトリートに専念しました。

「仕事をしないと不安」という気持ちもありましたが、「意外となんとかなる!」と気づけたのは、今の心身の健康につながっている気がします。

ワーケーションを終えて

4日目のプログラムも終わり、最後は振り返りの時間です。

これまで焦って仕事をしていた私は、この4日間を通して気持ちが楽になったのを実感しています。

目の前のことに集中すること、未来の働き方を考えること、幸福などについて考える時間を持てたのは、貴重な体験でした。

他の参加者も今回のプログラムへ参加したのをきっかけに、多拠点生活を始めたり、自身の運営するゲストハウスでの新しい取り組みを考えたりと、前に進んでいるようです。

ワーケーションは絶対に行ってみて欲しい

シマトワークスさんが主宰したワーケーションのプログラムについて、私の目線から紹介してきましたが、あくまでも魅力的な内容の一部です。

今回のモニターツアーに参加することで、それぞれが自分のやりたいことを見つけ、理想的な未来に進むきっかけを得られたのではないでしょうか。

「何かしたいけど何をすればいいか分からない」「ただ旅行が好き」という方も、ぜひワーケーションに参加して、この魅力を体感してみてください。

自分で何を“選択”したか、それに自覚的であれるか。

企業と生産者をつなぐツアーや、企業研修、淡路島の豊かな資源を生かした場作りを行うシマトワークス。彼らがはじめようとしている淡路島でのワーケーションプログラムをひもとく手がかりとして、シマトワークスの3人のはたらき方や暮らし方、生き方への向き合い方を伺いました。

(聞き手:No.24藤田祥子)

オンとオフを分けたほうがいい人、
そうでない人、両方あっていい。

-玉井さんは、シマトワークスのメンバーになるまではどんなお仕事を経験されてきたのですか?

ぼくがシマトワークスの一員になったのは2019年のことです。はじめに勤めた会社は印刷会社で、WEBのコーディングやデザインを担当していました。その会社から出向して、別会社に駐在していたこともあります。その後、2013年に地元である淡路島に戻ってきました。実家の祖父母や両親たちの近くで暮らしたいと前々から考えていてUターンしました。淡路島では市役所で、主に情報管理やシステム、ネットワークの管理に携わる部署で働いていました。

洲本市役所で最初に配属された情報課で

-玉井さんはどんなお仕事を手がけられているのでしょうか。また、シマトワークスには共有のオフィスがないそうですね、どこを拠点にはたらかれているのでしょうか?

シマトワークスでは、観光PRのWEBページや、地元企業のコーポレートサイトやオンラインショップの企画やデザイン、コーディングを手がけています。

富田と徳重は自宅に、僕の場合は暮らしているところからすぐのところに実家があるので、今はそこで仕事をするようにしています。

シマトワークスにはいってすぐの頃、自分の家で仕事ができるって最高だって思いました。パジャマのままでできたりするし、疲れたらすぐ休めるし……笑。それは、最近リモートワークをはじめたみなさんも同じ心境だったのではないのでしょうか。

とはいえ、自宅がそんなに広いわけではないので「仕事するぞ!」ってモードで気持ちを切り替えられる場所がありませんでした。あと、デザインやコーディングなど手を動かす仕事のときは、他のことを何も気にしなくていい環境がよくて。暮らしの中に仕事を持ち込んだりもしたけど、どうしても家のことが気になって集中できなかったんです。

今のベストポジションはかつての自分の部屋。冬はこたつのある部屋へ移動したり、気分によって実家のあちこちを移動するそうだ

そこで気持ちを切り替える意味でも、実家に出勤して集中して仕事をする環境を整えるようにしました。これは僕の場合は必要だったことなんですが、そういった切り替えが必要ない人もいると思います。実際、富田はスイッチなくいつでもニュートラルに仕事や暮らしのことができるらしいです。そうなれたらいいなとも思いますが、僕は僕のペースで。今のはたらき方も気に入っています。

自分にあった方法を、
探しながら、確かめていく。

-何時から何時までと定時がある仕事から、自由にはたらける環境になったとき戸惑いはありませんでしたか?

僕は飽きっぽい性格なので、できたらずっと同じことは繰り返したくないんです。だから、家ではたらくということが決まった時は、考えないといけないことはあったけど、それで困ったなと思うことはありませんでした。

もともと、会社員だったときも本社から違う会社に出向になったり、市役所で勤めていたときも情報を取り扱う部署から、まったく違う部署に異動になったり。わりと変化が多い方だったので「今回はどうやったら、パフォーマンスよくはたらけるかな~」と考えることが好きで笑。

とはいえ今の仕事のスタイルは、始業時間も終業時間も自分次第なのでリズムをつくるのには工夫が必要だなと実感しているところです。

-休む時間や、休日のタイミングをはかるのも難しそうですね。

そうですね、今は休みのとり方が少しむずかしいなと感じてます。コーディングやデザインに集中すると、メールや電話に反応できないこともしばしば。気がつくと休もうと思っていた日に手が動いていたりすることもあります。

そこを明確に色分けしたほうがよいのか、それともグラデーションがあってよいのか、それはその人それぞれで違ってくるのかなと、今はたらきながら確かめているところです。

祖父から受け継いだ田んぼ。現在は父と二人でお米をつくっている

-自由な時間の中ではたらくようになって、暮らしに影響はありましたか?

ちょっとしたことで言うと、晩ごはんのタイミングとか。定時があると何時に帰るから、この時間に。って晩ごはんも決まった時間に食べていました。でも、いまだと「まだ今日はそんなにお腹すいてないね」って言って少し遅くしたり。

これはちょっとしたことのようで、大きな違いで。自分たちが心地いいなって思うタイミングで、フレキシブルにいろんなことを決められるようになるんですよね。時間が決まっていてよいこともあるけど「これって本当は”今”必要じゃないかも?」そういうことを考えたり感じられたりする感度があるとないとでは、日々のストレスの感じ方もまったく違うんじゃないかなと思います。

はたらき方・暮らし方を、
自分らしく思い切り楽しもう!

-はたらき方や暮らし方の方法、これまでも日々更新されてきたのですか?

仕事も暮らしも、いろんな方法を試します。何度も言うけど、飽きっぽいので笑。少しずつ自分になじむ方法が見つかるだろうと思って、社会人になって10年以上ですけどずっといろんなことを試しています。

過去の田植えの記録を見返す

たとえばこの2年位は仕事で検索したことや困ったこと、解決した方法、暮らしだったら実家の田植えの記録など、ログを残すツールを使ってます。自分がやったことを検索できるツールなんですが、日記のように残していて。なんでもないお昼ごはんの写真とかも。「それ見返すの?」と言われたりするんですけど笑。それを積み重ねてるおかげで、解決することも結構多いんです。こうしたツールもそうですが、いろんなことを試しながら自分に合う方法を見つけるのが好きなんでしょうね。

今回のワーケーションプログラムのコンセプトに「与えられた”はたらき方”に人生を添わせるのではなく、共にはたらく仲間と一緒に考え、一人ひとりが、”はたらき方””生き方”にオーナーシップを持つ」。という言葉があります。

はたらき方とか生き方を「新しく生み出す」ことがオーナーシップを持つことだと思う人もいるかもしれません。ですが僕は、自分らしいリズムを見つけ出したり、これまでの方法を再構築してみることが、オーナーシップだと思うんです。

どんな風にはたらく環境を整えようか、どんな暮らしを家族としたいか、どんな時間を人生に持ちたいか。だから自分はこういうはたらき方を選ぼう!

そうした自分で選び取った選択に、いかに自覚的であれるか。リモートワークやワーケーションを取り入れるにしても、そうした自覚があるかないかで、はたらき方は大きく変わるなと思います。

シマトワークスの10年後の未来を話し合った「10Y CAMP」。仕事だけではなく、自分が想い描くはたらき方や暮らし方も共有した。

まだまだ自分もはじめたばかりで、リモートワークにこれだという正解はないのが正直なところです。ですが、大きく暮らしやはたらき方が変わろうとしている今だからこそ、これまで当たり前と思っていたことに向き合って、改めて選びなおしていけばいいんじゃないかなと思います。

ぼくはそうしたはたらき方や生き方を試していることが、悩みながらもとても楽しい時間だなと感じています。まずは楽しむところから、ワーケーションプログラムを通じて、みなさんにも一歩進んでもらえたらうれしいです。

島と都会を行き来する、デュアルな暮らしがあってもいい。

企業と生産者をつなぐツアーや、企業研修、淡路島の豊かな資源を生かした場作りを行うシマトワークス。彼らがはじめようとしている淡路島でのワーケーションプログラムをひもとく手がかりとして、シマトワークスの3人のはたらき方や暮らし方、生き方への向き合い方を伺います。

昨年からシマトワークスのメンバーに加わった徳重さん。淡路島を暮らす場所、はたらく場所として選ぶに至るまで、徳重さんと深く関わってきたおふたりのゲストと共にお話を伺いました。

(聞き手:No.24藤田祥子)

年齢を超えてできた、
新しい友達

-徳重さんは7年もの間、淡路島と神戸を行き来する暮らしをしていたと聞きました。どんなきっかけで淡路島に通うようになったのでしょうか?

徳重:2009年頃、後にシマトワークスを立ち上げる富田くんが中心となって開催していた、洲本紡績工場の跡地でキャンドルナイトが開催されたんです。先輩に誘われて参加したのですが、準備から打ち上げまで全力で楽しむ人たちが集まっていて、とても驚きました。大人が全力で遊ぶとこんなことになるのかぁって!!笑。そのあと、富田くんから誘われて、淡路はたらくカタチ研究島の研究会に参加しました。そこで出会ったのが、富田くんとはたらくカタチ研究島を運営していたやまぐちさん。

やまぐち:はたらくカタチ研究島を通して、淡路島に頻繁にきてくれるようになったしげちゃんの存在はとっても気になっていました。当時しげちゃんはアパレルのお仕事をしていて、手芸にも興味があると耳にしたんです。そこで、わたしの母親の止まらぬ創作意欲を受け止めてくれないかなともちかけたんです笑。

ばぁばんと新しい縫い物の相談をする徳重さん

徳重:ばぁばん(やまぐちさんのお母さんの西岡栄子さん)との出会いは、ピクニックイベント用の大きなレジャーシートをつくるお話でしたよね。仕事柄、可愛い布やパーツにふれるのは好きだったけど、自らつくることってほとんどなくて。そんな時に、手をうごかしたくてしょうがないばぁばんを紹介されたんです。

ばぁばん:孫たちも大学に進学して、家から出ていってしまって。ちょうどその時にミシンを買ってもらって。なにか作りたくて、作りたくて笑。

徳重:神戸で仕事を終えたら金曜日バスに乗って淡路島に行って、ばぁばんたちと合宿したりしながら、ピクニックイベントのレジャーシートを仕上げました。不思議な島だなぁと感じたのは、誰もが世代を超えて同じ立場で友人になれること。ばぁばん以外にも手を動かすことが好きという共通点で、さまざまな年代の友人が増えていきました。しらずしらず輪が広がって、手芸チーム”淡路島女子部”が誕生しました。

淡路島女子部のみんなでちくちくと縫物。近所のお友達たちも一緒に。

島に行けば気持ちが変わる、
新しい発想も生まれる

-いろんな場所があるなかで、そうした関係性が生まれたのは淡路島だけだったのですか?

徳重:都会暮らしのいろんなしがらみを置いて、金曜日の仕事終わりにバスに飛び乗って、橋を渡って淡路島にいく。それが私にとって大切な時間になっていったんですよね。同じぐらい時間と距離がある場所に行ってもそうは感じられませんでした。不思議と、バスに乗って橋を渡っていく間に気分が変わっていくんです。いつもなら仕事に追われて考えられないことも、淡路島っていう場所に行けばアイデアを膨らませて楽しむことができる。そうした時間が私の暮らしになくてはならないものになっていきました。

バスの車窓からは大きく広がる海や、海に沈む夕日や月が見える。

やまぐち:「週末おしげ」って呼ばれるくらい、淡路島にずっと通ってたよね。

徳重:特に縫製が好きなばぁばんとの出会いは私にとって革命的でした。仕事でお洋服をつくるとなると、何百枚という単位で工場にお願いしなければなりません。ですが、ばぁばんとなら少ない数でもつくりたいものがつくることができたんです。次第に仕事としてばぁばんとものづくりをする時間もどんどん増えていきました。

ばぁばん:しげちゃんがおうちに来てくれるのは、私もとっても嬉しかった。

徳重:女子部の活動が中心にあったけど、何度も何度もおうちに泊まらせてもらって、ごはんを食べさせてもらって……。暮らしの時間を共にすることも増えていきました。自然がいっぱいあるとか、神戸から少し離れた場所って他にもあるけど、ばぁばんや島の人たちはオープンな距離感で私を受け入れてくれました。こうした環境は他になかったんです。

やまぐち:私の仕事柄、全国各地のゲストをうちにお招きすることも多かったんですよね。だからばぁばんも、普段からいろんな人が家にいることにはなれていたよね。

ばぁばん:来る人によって話も違うから、人が来てくれることはとても楽しくて。しげちゃんが来てくれるのも、子どもや孫たちが帰ってくる感覚でした。さらにしげちゃんとは手芸という共通点がありました。縫い物のことで、わたしのことを頼りにしてくれたのも嬉しかったし、しげちゃんとは気があったなぁって思います。

淡路島女子部のアイテム。淡路島のマーケットでも人気を集めている。

徳重:こんな風に言ってくれる人がいて、どうせ何かつくるならお披露目の場というか、誰かに買ってもらえたらいいなって思うようになりました。そんなことを考えていた時に、淡路島で開催されていた「レトロこみちの町歩きイベント」が目に止まって。みんなでつくった雑貨の販売で出店してみたところ、思った以上の反響に驚きました!それからはイベント出店で売り上げた金額を材料代にあてたり。楽しみが広がっていくとともに、活動の幅も広がっていきました。

島の人と人との関係性のなかで、
安らぐことができた。

-淡路島での経験は、普段の暮らしに影響していましたか?

お正月飾りをばぁばんの手ほどきで教えてもらう。

徳重:ばぁばんに教えてもらったことを、都会の友達にシェアしたりしていました。例えばお正月飾り。稲穂や松などを組み合わせてお飾りをつくるのですが、都会だとわざわざつくる機会ってない。でもばぁばんは当たり前のように暮らしの中でつくっていたんです。ばぁばんに教えてもらった楽しみを、神戸の友人たちにも提供できたらいいなって考えるようになって。島に来てもらったり、逆に島で経験したことを神戸に持っていったりするようになりました。

刺繍アーティストの二宮佐和子さんのわくわくする作品。

ばぁばん:しげちゃんが当時働いていたアパレルのお仕事を女子部で請け負ったりすると、見たことのないおもしろい素材やデザインにふれる機会があって。そのたびにとても新鮮な気持ちになれました。しげちゃんには楽しいことにたくさん出会わせてもらったなぁ……。自分だけだと好きなものを好きなだけつくっていただけ。でも、しげちゃんにこうして作って欲しいって頼ってもらえるようになって、新しい出会いはもちろん、自分の存在が役に立つことがとても嬉しかったです。

徳重:7年もすると、島に行くと誰かが声をかけてくれたり、馴染みのお店ができたり、相手をしてくれる人が増えたり。第二のふるさとのというか、島に心から安らぐ場所ができていきました。

やまぐち:神戸と淡路島を行ったり来たり、7年だもんね。

徳重:数字にすると長く感じますね~!笑。7年経ってようやくというか、自分自身の「はたらき方」を変えるタイミングがやってきた、それが昨年のことです。シマトワークスに加わって、新しい仕事をはじめることにしました。どこに住んでもいいよということだったのですが、自分にとっても一番いいな!と思えたのが、ずっと行き来してきた淡路島でした。7年間のデュアルな生活がなかったら、今の暮らしはなかったなと思います。

左からばぁばん、徳重さん、やまぐちさん。

-これからシマトワークスが提案しようとしているワーケーションのプログラムでも、徳重さんの経験が活かされそうですね。

徳重:二拠点の生活の楽しさや可能性を誰より知っている自信があります。ふたつの場所をもつことで、私はいろんな物事をやわらかく広く考えられるようになりました。これがだめならこうした方法もあるかも?って。また、普段の暮らしから離れたゆったりとした時間の中では「自分にとって何が大切か」ということもとてもクリアに考えられるようになります。もとの生活に戻ったとしても、それが見えていれば自分の思い描く生き方を、自分で決めていけると思うのです。はたらき方、暮らし方、生き方。ワーケーションのプログラムを通して、わくわくできる生き方をみなさんと一緒に探すことができたら私も嬉しいです!


やまぐちくにこさん

淡路島を耕す女。 凝り固まった価値観を耕し、自然から溢れる創造と想像の喜びを育てることを使命とする。 洲本市「洲本市民工房」市民ギャラリー企画運営/ NPO法人淡路島アートセンター設立 / 淡路はたらくカタチ研究島設立 。

ばあばん

淡路島女子部のメンバー。淡路島のみんなのお母さん的存在。ロックミシンを操り、どんな困難なオーダーもカタチにしていく。ばぁばんのつくる何気ないおうちごはんに胃袋を掴まれた人も多い。

暮らし方やはたらき方に“インターバル”を取る

企業と生産者をつなぐツアーや、企業研修、淡路島の豊かな資源を生かした場作りを行うシマトワークス。彼らがはじめようとしている淡路島でのワーケーションプログラムをひもとく手がかりとして、シマトワークス3人のはたらき方や暮らし方、生き方への向き合い方を伺いました。

(聞き手:No.24藤田祥子)

僕らがやってきたこと、
もしかして役立つんじゃない?

– 改めて、今回の活動に至るまでの活動について聞かせてください。

ぼくらシマトワークスは、瀬戸内に浮かぶ淡路島という島に拠点を置きながら3人で活動しています。僕が島にわたってきたのは、2011年のこと。もうすぐ10年になります。

2012年から2016年まで実施されていた、地域の雇用創出を目的とした厚生労働省の委託事業「淡路はたらくカタチ研究島」の立ち上げをきっかけに島へやってきました。経営者やデザイナー、編集者やファシリテーターなど、さまざまな講師を淡路島に招いて、年に300人を超える参加者たちと「はたらき方」や「生き方」を考えました。

2014年に「わくわくする明日をこの島から」をモットーに掲げる、シマトワークスとして独立。島をフィールドに置きながら、地域や分野、個人・団体・企業を超えて企画提案を行ってきました。昨年には、友人だったふたりが仲間になって、事業や活動範囲もさらに広がりはじめています。

シマトワークスの設立式を行った淡路島のいちご園にて

– そんなシマトワークスの新たな活動としてはじまろうとしているのが、ワーケーションプログラムなんですね。

実は昨年から提案したいと準備をはじめていたプログラムだったんです。ですが、この2020年に広がった新型コロナウィルス感性症の拡大によって、誰しもが大きな影響を受けましたよね。

会社に行って働いて家に帰ってくる。仕事の後に友達とあって呑みに行く。休日は家族や気のおけない仲間たちと遊びに出かける。

そんな当たり前のことができなくなって、これまでの働き方や暮らし方を一新しなければならなくなりました。

シマトワークスでは、これまでもリモートワークや二拠点生活に近い暮らし方をおくってきたメンバーが集っています。僕自身も年に1ヶ月間を海外で過ごす、12分の1海外暮らしを3年ほど続けてきました。

世の中がざわつきはじめて、多くのひとたちが急速な変化を余儀なくされる中で、今こそワーケーションプログラムが、みんなにとって役立つんじゃないかと思いはじめたんです。

ベトナムでの12分の1海外暮らしの様子

たとえばリモートワーク。多くの人が家で働いてみて良いことも沢山あったと思うけど、大変だったことも沢山でてきたと思うんです。仕事とプライベートのオンオフがぐちゃぐちゃになってしまったとか。

会社にはデスクがあって、始業時間があって、休日があって、集中して仕事するための場所があったわけです。いざリモートワークってなったら、会社が提供してくれていたオフィス空間の心地よさみたいなのを、自分でつくらないといけないわけですから大変ですよね。

今もなお新しいことだらけ、もとに戻ったようでそうではなくて。この3ヶ月ほど余儀なくされた暮らしの形は、またどんどん変わっていく可能性が高い。そうなったとき、暮らしやはたらき方、生き方をどうするか。会社側も、社員さん自身も、ちょっと落ち着いて考えてみる必要があると思うんです。

12分の1 海外暮らしから見えた
「インターバル」とは?

– さきほどの話にもあった、12分の1海外暮らしというのは普通の旅行とはまたちがうのですか?

「暮らしの実験」と題して、一年の一ヶ月をベトナムで奥さんと過ごし始めました。当初は、はたらき方も含めて、暮らしにもう少し刺激があってもいいなというくらいの気持ちでスタートしたんです。

3年やってみて、今では自分たちにとって大切な期間になっていて……。あの1ヶ月がないとちょっともうやっていけないなって言うくらい笑。

単純に楽しいだけじゃなくて、何かをいつも感じて帰ってきていました。それって何だろうって3回やってみて、繰り返し考えて。今年やっと「インターバル」という言葉が浮かびました。自分たちがベトナムでやってたのって、旅でも休暇とも違う。暮らしとかはたらき方のなかにインターバルをとってる感じだなって思ったんですよね。

海を眺めながら働く(ベトナム ニャチャンにて)

– インターバルというのは、スポーツでよく聞く言葉ですね。

はい。いつもの日本での暮らしやはたらき方は、100%以上の力を使いながら動いている期間です。ベトナムへも日本の仕事を持っていって、ビデオ会議とかしながら、日本でいるのと変わらないくらい働いています。

ただ、一ヶ月日本を離れると、関係性が大きく変わるんですよね。友人や同僚、家族や自分との関係性が。物理的距離があるので、圧倒的に出会う人が減るんです。

他者との関係性が減ったことで、逆に増えるのが自分や家族との時間です。そこに集中できる。1ヶ月のあいだ、思いっきりそこに時間を注いでみると、自分にとってベストといえる心や頭の状況が整っていたんですよね。

ベトナムでは仕事など停止はしないけど、早い鼓動を保ったままちょっとゆるやかに動き続ける。インターバルをとっているというイメージです。

会社で働いていたら、平日があって休日があって。休みの日にリセットして整えていたのかもしれない。けど、リモートワークみたいに、休みもはたらく日も境い目がぼやけてくると、いつ休んだのかわからなくて気がつくと息切れ……みたいな笑。

「自分をベストに整える時間」という意味でインターバルをはさむ、すると次の100%の動きに繋がるなぁって実感しました。

自分らしい暮らし方・はたらき方を
10年間ずっと、考えてきた

– 自分自身の体験を通して感じたことを、これからワーケーションプログラムで形にしていこうとされているんですね。

そうですね、僕たちが身をもって感じたこの状況を、淡路島で仕組として提供すればいいんじゃないかって昨年くらいから考えるようになりました。淡路島ならこれまで僕たちが見つけてきた、心地よくて気持ちいい時間や空間、人たちをつないでいけるからです。

島の中には色々な仕事と働き方が存在している

会社のチームやメンバーと一緒に淡路島へやってきて、「どうやったら、心地よくはたらけるかな?」っていうのをちょっと実践してみる。こういうサイクルで働けばできそう!とか、そういうのを自分のなかでつかみながら、自宅に戻ってリモートワークしてみる。ひとりでずっと働いているとどうしても暮らしのリズムが乱れるもんだから、定期的に島でインターバルを設けて、はたらき方をメンテナンスする。そうやって自分のはたらき方を定着させていくと言うか。そういうプログラムを提案できたらいいなと考えています。

– そうした島の中のネットワークがあるのも、訪れる人にとっては魅力的ですね。

農家、畜産家、漁師、料理人など色々な仲間が島に集う

都会でもいろんな人たちがいるし、いろんな場所がある、そこに住む人もはたらく人も多種多様。でもそれを、ぼくが本当の意味で理解したのは淡路島に来てからです。

島でいろんな人たちに出会って、自分とはまったく違うはたらき方を目の当たりにしたんです。自然と自分のはたらき方を見直すようになって。僕自身、自分のはたらき方ってなんだろうって何度も考えてきました。そこから独立してシマトワークスになっても、仕事や生き方、どんなのがいいんだろうって。

日々更新しながら、この10年はたらき方のことをずっと考えてきたんだと思います。

たぶんこれから、同じ業種だったとしても、リモートワークが増えればはたらき方の裾野は広がっていくと思います。いろんなはたらき方があるってインプットしていれば、めっちゃ楽しいはたらき方とか、自分にフィットしたはたらき方をつくり出せるかもしれないですよね。

僕だけじゃなくて、シマトワークスのメンバーも持ってる、今の段階での考え方とか方法論をプログラムで提供していきたいと思っています。はたらき方って自分でつくるもので、心地いいと思うのは自分だから。こうやればいいよっていう仕組みをいくつかプログラム化させて、色んな人と島での時間をシェアできれば嬉しいです。

あとはワーケーションを考えている人たちが淡路島にたくさん集まって、そこでのコミュニティができたり、集まって何かを考えたりすると新しいものがさらに生まれそうな予感がある。

そんな妄想をめぐらせて、僕はわくわくしています。